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未成年者の自殺が全国ワーストの長野県。自殺者の7割は、亡くなる前に関係機関に相談していることから、松本市も連携強化へ。

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
年間3万人と言われる自殺が日本の社会問題となっていますが、長野県は自殺率、特に未成年の自殺率が全国ワーストとなっていることは御存知でしょうか。
長野)未成年の自殺死亡率ワースト、県が対策強化:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASK875K46K87UOOB00J.html
なぜ長野県が高いのか、明確な原因はわかっていませんが、県でもこの対策強化を進めると知事が表明し、松本市でも、県の定めた目標にあわせて、第2期となる自殺予防対策を進める計画を策定したところです。


今から2年半前になりますが、議員として当選させて頂いた年の11月に、松本市の世界健康首都会議にて、NPO法人ライフリンク代表の清水さんによる自殺予防対策の講演がありました。
その会場には、何人もの人生の経歴が、年表のように書かれているパネルが掲示されていたのですが、それをたどっていくと、最後の行はどれも「自殺」と締めくくられているものでした。10代、20代で自殺と記載されているものが多かったのが印象に残っています。
この講演の中では、清水代表が「一番ショックだった」というデータが紹介されたのですが、それは、自殺者全体のうち7割の方が、「自殺で亡くなる前に何かしらの相談機関で相談していた」という事実。
さらに、そのうちの44%の方は、「自殺で亡くなった日から1カ月以内のうちに、相談機関に相談をしていた」といいます。
これは、自殺者の多くは法律事務所、病院、行政窓口などにたどり着き、助けを求める声を出していることを示していて、そういった相談を受けた側が、横断的で複雑に絡む困りごとにうまく対応することができれば、救うことができた命が多くあったのではないかということを意味しています。
この点に取り組んでいる事例として紹介されたのが、東京都足立区の相談支援ネットワーク事業。ここでは相談機能をもつ関係機関同士が、「つなぐシート」という用紙を使って、相談内容に応じた適切な機関につなぐようにしています。これによって相談者がどの相談窓口にたどり着いたとしても、ネットワークによる包括的支援の入り口となり、適切な相談窓口へとつなぐことができる体制をつくっているようです。
さらに、足立区では、地域ごとに異なる自殺の傾向が高い層(ハイリスクグループ)を把握し、そこに対するアプローチを取っています。
具体的には、足立区でハイリスク群の分析を行った結果、失業者の自殺が多いことがわかり、対策としてハローワークの2階に総合相談窓口を設置し、通勤時間に合わせJRと連携して相談会の案内ビラを駅で配布するなどの対応をとったそうです。これらの取り組みによって、そのグループの自殺率は実際に減少しています。
平成27年12月議会で、この自殺予防対策について一般質問で取り上げました。未成年者の自殺が多いこの地域で、松本市におけるハイリスクグループを分析し、そのターゲットにふさわしい手法・内容の対策を取ることを求めました。
当時の答弁については、その方向性で第2期計画を策定していくということでしたが、詳しくは最下段に記載した議事録をお読みいただければと思います。
その後、今回改訂となった第2期計画においては、松本市の自殺の特徴が立体的に分析され、それぞれに対する重点施策、特に若い世代や働き世代への啓発などの取り組みも記載されることとなりました。具体的に、松本市のハイリスク群とそれぞれの背景は以下のように分析されています。
◯自殺の傾向と背景の経路
1位:男性40〜59歳、有職、同居
配置転換→過労→職場の人間関係の悩み +仕事の失敗→うつ状態→自殺
2位:男性60代以上、無職、同居
失業(退職)→生活苦+介護の悩み(疲れ) +身体疾患→自殺
3位:女性60代以上、無職、同居
身体疾患→病苦→うつ状態→自殺
4位:男性20〜39歳、有職、同居
職場の人間関係/仕事の悩み(ブラック企業)→パワハラ+過労→うつ状態→自殺
5位:男性60代以上、無職、独居
失業(退職)+死別・離別→うつ状態→将来生活への悲観→自殺
そして、松本市の特徴としては、次の事柄が挙げられています。
・自殺者数の男女比は、男性は女性の約 2 倍
・男性は、20歳代、40歳代、50歳代以降の働き盛り世代と、60歳代で自殺者が多い
・20 歳未満では、過去5年で12 人が自殺で亡くなっている
・20歳代から50歳代で亡くなる人は、有職者が多く、60歳代以降の場合は無職者が多い
・20歳から59歳までの年代の職業は、男性では被雇用者・勤め人が多く、女性では無職者が多く亡くなっている
・過去7年を見ると、松本市の30歳未満の死因順位は、自殺がほぼ 1 位
・未遂歴のある人が 5 年間で 45 人
・自殺者の 7 割近くは独居ではなく、同居人がいる
この計画案が昨年末、教育民生委員会にて諮られた際、「27年12月定例会でも取り上げたように、関係機関同士の連携強化策について計画に記載してほしい」ことを意見したところ、最終的な計画として、提案した内容であった「相談用連絡票の作成」を具体的に計画に記載していただけることになりました。

「様々な市民生活の悩み事に寄り添い、問題が複雑化する前に、より早い段階での問題解決ができるよう、庁内全ての窓口での対応力の向上と、迅速かつ確実に連携支援する ための体制整備、相談用連絡票の作成を進めます。」

第2期松本市自殺予防対策推進計画 P63より
記載自体は小さな部分ではありますが、明確に取り組みが位置づけられましたので、今後も引き続き対策を検討し、さらに環境が整備されるよう求めていきたいと思います。
以下、議事録を掲載します。それでは、また明日。
青木:次に、自殺予防対策についてを取り上げたいと思います。
11月5日、6日に世界健康首都会議がございました。私はそこで自殺予防対策の講座に出席をいたしました。そこでは自殺予防に取り組んでいるNPO法人ライフリンクの代表である清水さんがこれから自治体としてこちらにどのような対策をしていくべきかというような講演を行っておりました。
会場の後ろを見てみますと、壁には実際の自殺の事例を紹介したパネルが掲示されておりまして、その人の経歴が年表上に記載されておりました。よく見るような経歴表なのですが、たどっていって最後の行を見ると、どれも自殺と締めくくられているのがとても印象的で、若い人も多く、胸が締めつけられるような思いがしたのを覚えております。
さて、講演の中で清水先生が一番ショックだったというデータを紹介していらっしゃいました。それは自殺で亡くなる前に関係機関に相談していた人というのが全体の7割もいたということ、そして44%は自殺で亡くなった日から1カ月以内の期間に関係機関に相談をしていたという調査結果です。つまり相談を受けた側がその助けを求める声をうまく拾うことができたら救ってあげられたかもしれない命がこれだけ多くあったということではないかと考えられます。これには私も大きな衝撃を受けました。
そこに対応をしているのが東京都足立区の相談支援ネットワークという施策です。ここでは関係機関同士が、これは法律事務所であったりそういった場所のことでありますが、これらが「つなぐシート」という用紙を使って、相談内容について適切な機関につないでいくことを具体化した取り組みでございます。これによって相談者がどの相談窓口にたどり着いたとしても、ネットワークの包括的支援の入り口とその相談窓口をすることができる体制をつくっているそうです。
この関係機関同士の連携について松本市ではどのように考え、取り組んでいるか、そして今後の展開についてもお伺いしたいと思います。
健康福祉部長:自殺予防対策の関係機関の連携についてお答えをいたします。
松本市では、健康寿命延伸都市・松本の創造を目指し、命を大切にするまちづくりを基本姿勢に早くから自殺予防対策に取り組んでまいりました。
自殺予防対策は、自殺を個人の問題として捉えるのではなく、健康、経済、職場の問題などその背景にあるさまざまな社会的要因があることを踏まえて取り組む必要があります。このため、地域社会全体で情報を共有し、関係機関が協力して対策に取り組むため、平成21年度に医師会、校長会、弁護士会、公共職業安定所、商工会議所、町会連合会、警察、「いのちの電話」相談員などさまざまな分野の関係機関27団体で組織する松本市自殺予防対策推進協議会を設置したほか、庁内の部局横断組織として7部16課で構成する松本市自殺予防対策庁内連絡会議を設置してまいりました。また、平成22年度には長野県看護協会との連携により、自殺予防専用相談窓口「いのちのきずな松本」の開設や、平成23年度には松本市自殺予防対策推進計画を策定し、関係機関との連携強化、市民への周知・啓発などの取り組みを進めてまいりました。
今後につきましては、松本市自殺予防対策推進計画の計画期間が平成28年度で最終年度となりますので、自殺対策基本法の改正の動向などを注視しつつ、協議会で生きることへの地域社会全体での支援を主眼とした計画の評価、見直し検討を行い、次期2期計画を策定し、関係機関の連携による対策を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
青木:足立区の事例で特徴的だったのは、地域における自殺ハイリスクグループの把握とそこに対する的確なアプローチでありました。足立区でハイリスク群の分析を行った結果、失業者の自殺が多いことがわかり、対策としてハローワークの2階に総合相談窓口を設置し、通勤時間に合わせJRと連携して相談会の案内ビラを駅で配布するなどの対応をとったそうです。これらの取り組みによりそのグループの自殺率は実際に減少したとのことでしたが、ここでまず松本市の自殺者数のデータとその傾向についてをお尋ねしたいと思います。
健康福祉部長:本市における自殺者数のデータ、その傾向についてお答えをいたします。
内閣府から公表されております地域における自殺の基礎資料によりますと、過去5年間の数値で自殺者数は平成22年の70人が最も多く、以降徐々に減少に転じ、平成25年は50人まで減少しましたが、平成26年は61人とやや増加いたしました。男女比では男性が7割を占め、年代別では40歳代が最も多く、次いで50歳代と続いております。また、男性は40歳代から50歳代、女性は60歳代以上の高齢者が他の年代に比べ多い状況でございます。
一方、最近の傾向といたしまして10歳代、20歳代の若い世代の自殺者が増加しており、平成26年には20歳代の自殺者数が年代別で最も多くなりました。
なお、自殺の主な原因、動機といたしましては、鬱などの健康問題、失業・貧困などの経済・生活問題、離婚や死別などの家庭問題がその多くを占めている状況でございます。
以上でございます。
青木:松本市のデータを講師の清水先生に見てもらいましたところ、自殺率が高い年代層にほかの都市と比べ特徴があるというようなことでした。
先ほど紹介した足立区の事例のようにハイリスク群を割り出し、そこに適切な対応を、またその人にしっかりと届くようなアプローチ方法をとることがこの自殺予防対策として最も効果的だと私は考えております。
そこで、松本市におけるハイリスクグループ群の調査をし、立体的な分析をしてほしいと思いますが、その実施についての見解をお伺いいたします。
健康福祉部長:ハイリスクグループの調査・分析及び対策についてお答えをいたします。
先ほど申し上げましたとおり、本市における自殺者の年代別の傾向として40歳代までの青壮年期の方が多く、この背景として多くの大学生などが暮らしている若者のまちであること、ひきこもりや就職等の問題があると推測できます。しかしながら、その年代層は学生なのか、失業者なのか、家庭状況はどうなのかなど自殺に至るまでの背景も含め、議員ご提案のとおり詳しいクロス集計・分析を行い、ハイリスクグループの抽出や特徴を明確にしていくことが対策を検討する上で重要と考えます。
内閣府では平成25年ごろから自治体の求めに応じて詳しい集計・分析を行うことができるデータの提供を始めており、現在本市では提供を申請中でございます。今後得たデータについて集計・分析を行い、重点的に対策を行うべきグループを明確にしていく予定です。その上で、まずはハイリスクグループに対しての集中的な周知・啓発や来年度現在の市民相談窓口を拡充し、生活困窮、消費生活などの相談機能を一体化させ、自殺予防にもつながる生活困窮者に対する相談支援体制を充実する予定であるほか、自殺予防対策推進協議会で情報を共有し、改定する自殺予防対策推進計画へ明確な位置づけを行い、関係機関の連携による対策を進めてまいります。
以上でございます。

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