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野村総研の成長可能性都市ランキングの分析。総合8位となった松本市は、今後どんなことをすれば良いか?

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
先日、松本市役所で野村総研さんによる成長可能性都市ランキングの分析について、職員研修が実施されていましたが、議員も傍聴が可能となっていたので参加してきました。同日に松本商工会議所さんでも同じ内容で講演が実施されていたようです。

ランキングによる都市の持つ「成長可能性」の可視化〜地方創生の成功の鍵はどこにあるのか〜
という演題で、野村総研上級研究員の小林庸至さんによる講演をお聞きしました。
事前に公表されていた部分は、以前私の記事で書かせていただいています。

2017/07/24

目次
1,ランキングの目的は、都市のポテンシャルを可視化すること
2,松本市の評価された点は、人と人のつながり
3,松本市は「多様な産業が根付く基盤」が振るわない
4,松本市は今後どうしたら良いか?
1,ランキングの目的は、国内都市の産業創発力の現状と、将来のポテンシャルを可視化すること
この調査は、国内都市が産業創発力をもって自立した自治体になれるかどうかをランキング形式で示したもの。
今回の調査では、今の時代は新しい発想なくして勝ち残ることはできないという現状を踏まえて、自治体や行政問わず今後は外部の人材や知恵が必要なことから、創業イノベーションを促す仕組みの有無や都市の暮らしやすさ・多様性・魅力という観点を指標に盛り込んでいるとのこと。その上で、コンビニや病院数という指標だけでなく、住民の感じていることをアンケートで調査し、それも指標化しているのが特徴であるということです。
そして、今回の調査は次のことに活用することを目的とされています。
・各都市の強みと弱み、特徴を可視化
・地方都市に何が足りないのか、今後何をやっていくべきなのかを提示

今回上位にランクインした都市の評価されたポイントとして、
・福岡はスタートアップの成果があがっていて、ビジネスインフラも充実してきた
・京都は京都大学に優秀な人材がいて、新しいビジネスを生み出す要素がある
・鹿児島は産業基盤は揃っていないものの、多様性への寛容度は高く、住んでいる中での魅力は高い
・つくば市は筑波大学によって人材が豊富な上、人口の入れ替えでオープンな環境がある

といった点が挙げられました。
2,松本市の評価された点は、人と人のつながり
松本市は次の3つのライフスタイル別ランキングでベスト3に入り、「都市の魅力が高い」ことで優秀な人材が定着する可能性があるとされ、「総合ランキング8位」と評価されました。
・移住者に優しく、適度に自然がある環境で仕事ができる
・リタイア世代が余生を楽しみながら仕事ができる
・子育てしながら働ける環境がある

この都市の魅力の項目は先程触れた住民へのアンケートによる指標が多く、例えば、最近障害者・高齢者を助けたか、挨拶をしたか、家とオフィス以外に居場所があるか、といったような情緒的な内容だったそうです。ここから、松本は、ひととひととのつながり(社会関係資本=ソーシャルキャピタル)が強く、それがこの地域の一番の財産であると評されることになりました。
3,松本市は「多様な産業が根付く基盤」が振るわない
松本市が評価されたのは多様性への寛容度、創業を促す基盤、都市の魅力があることでしたが、一方で評価が低かった点は「多様な産業が根付く基盤」。(松本市の人口規模から考えれば、もっと高い数値でもいいはずとの説明も)
この項目は、大企業が立地しているか、地域の経済力はあるか、海外とのビジネスのつながりはあるか、ビジネスコストは安いか、ビジネスインフラは充実しているか、自治体の行政基盤は安定しているかといった内容です。商議所では、新幹線駅や国際空港へのアクセスの悪さから、ビジネスインフラの評価が低かったと説明されていたようです。
また、これは松本市内だけのデータであるため、安曇野市や塩尻市と広域で取り組むことを考えれば、大企業の立地等はカバーされるのではとの説明がありました。
その他、居住の快適性や社会の成熟度に対して、外部人材の流入に結びついていないことや、信州大学の人材の引き止め、誘引に弱みがあるのではないかといった指摘もされています。
4,松本市は今後どうしたら良いか?
分析総括として、
・都市の魅力の評価が高く特にコミュニティの絆をはじめとしたソーシャル・キャピタルの充実が目立つ
・街の綺麗さ、静かさ、景観の美しさ、治安の良さなど安心して暮らせる要素が揃っており、移住者・アクティブシニア・ワーキングマザーなど、さまざまなライフスタイルを志向する人に適した懐の深いまち
・一方、ビジネスインフラや産業集積など、多様な産業が根付く基盤は振るわない
・多様性への寛容度、創業を促す基盤、都市の魅力の面で高スコアの一方、そのポテンシャルに比べて実績が物足りない
とされました。
今後の対応としては、
・先程のビジネスインフラの充実はすぐにできることではないため、松本市はさきほどの強みをいかに活かして成長につなげていけるかが重要である
・何もやってないわけではないが、他の自治体とくらべて特徴的なことがないため、信州大学との連携など、まだまだやるべきことはあるはず
・都市の魅力の高さを活かして、優秀な人材を誘引し、つなぎとめることが重要
・信州大学のような大学、研究機関を中心に、新しいビジネスを起こす(起業・創業、地元企業の新規事業創出)仕組み・仕掛けを創ること(これを広域的に取り組むことも)が重要
・生活環境においても、総合的には満足しているものの、地域交通の確保など、重要な要素なのに満足度が低い点はあり、この点もまだやれることはあるのでは
また、各都市の成長のポテンシャルをランク付けしたものでは松本市は6位になっています。これは、他都市と差別化できる要素はあるのに、ビジネス創発・産業創発に結びついておらず、やるべき政策的要素がまだまだあるということの裏返しであると説明されました。
松本市の分析については、おおよそこのような内容でありました。この他には、他都市の事例が紹介されていますが、また別の機会でまとめます。
課題として挙げられた信州大学との連携や人材誘致という点はこれまでも指摘されていた内容であったと思います。
松本はヘルスバレー構想を掲げ、健康産業の創出を目指していることもあり、今回このように評価された分析について、松本市の成長・発展につながるように議会活動にも活かしていきたいと考えています。
それでは、また明日。

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