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超少子高齢社会の長野県の森林情勢。松本地域では、カラマツ・アカマツの利用促進と若返りが課題に。

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
先日、会派開明として、市の森林整備の取り組みについての勉強会を実施しましたので、本日は森林整備の話題について。

長野県の森林は、昭和20〜30年代に植林した木が、間伐の成果もあって、着実に成長をしていますが、間伐対象の終期にあたる51〜60年生が最も多くなっています。松本地域においては、51〜60年生が人工林全体の42.4%(17,812ヘクタール)を占める一方、1〜10年生は0.07%(29ヘクタール)しかなく、林齢構成のバランスが極めて歪で、超少子高齢化と言える状況となっています。
根がしっかりと張っていない大木においては、むしろ災害時に被害を大きくする可能性もあり、利用期に達した森林は主伐・更新による若返りを諮ることが重要です。今後は間伐を推進しつつも、収穫時期に至った森林を適正に主伐していくという方向性で市は森林整備に取り組んでいます。
松本地域においては、カラマツの占める割合が最も高く、次いでアカマツが占めて、杉や檜は少ないというのが特徴です。カラマツは涼しい気候でよく育つことから、県内のほか、北海道や岩手でも多く植生しています。植えて早い段階で成長することから、昔の電信柱に使われていたとのこと。
この最大数を占めるカラマツですが、利用するという点においては、これまではねじれやヤニなどの欠点のため、敬遠されがちだった木です。しかし、近年の加工技術の開発によって合板や集成材という形でこれらの課題を克服し、さらにカラマツの特性である強度の高さが評価されてきたことで、需要が大きく増加することとなりました。特に信州カラマツは品質が高いことから人気があるようです。
松本市のカラマツは同じように高齢化が進んでいて、45〜75年生でカラマツ全体の80%を占めている状況です。この充実した資源をどのように利用し、若返りを図るかが今後の課題です。
市では、地方創生の一環として、姉妹都市であり海沿いの都市である藤沢市へのカラマツ販路拡大事業に取り組んでいます。しかし、地元の木を地域の市民にもっと知ってもらい、市内で利用してもらうことも大切ですので、今後そのような取り組みを展開できないか、検討していきたいと思います。市でも、市の施設を木質化するなどの方策を検討しているとのことです。
次に、カラマツについで多いアカマツですが、その有効活用策と、あわせて松くい虫による被害が課題となっています。
平成12年度に安曇野市と麻績村で被害が発生し、平成16年に松本市でも確認された松くい虫被害。平成24年度まで徐々に増加していたものが平成25年度以降急増し、大きな課題となっています。この点については別途詳細を書きたいと思いますが、その被害木をチップ化したりバイオマスに利用することを進めているのが現状です。
アカマツは以前は住宅の梁などに利用されていたものの、近年はその需要が急減しているため、その需要拡大対策としても塩尻で進められている県のFパワープロジェクトの動向が注視されています。
木材の需要拡大という点では、ここ5年間で3倍の市場となった輸出の増加傾向も注目されています。総輸出額70兆円のうち農林水産物は7502億円(全体の1%)、そのうち林産物は268億円(農林水産物輸出額の3.6%)しかない状況であり、今後の拡大も課題となっています。
国内における木材自給率においては、だんだんと増加に転じてきているようです。昭和30年までほぼ100%だった自給率は、平成14年には18.8%を記録しましたが、その後回復し、平成28年時点で34.8%を占めるまでになっています。中国等新興国の需要による流通の変化や、外材丸太の入手困難に伴う国産丸太への転換がその要因として挙げられています。
また、県の丸太生産量も増加傾向にあります。昭和40年初頭には200万㎥を超えていた県内生産量は大幅に減少し、平成15年に24万5千㎥と10分の1まで下がりましたが、以降増加傾向にあり、現在はおよそ50万㎥まで回復してきたといいます。県では、平成32年までに75万㎥にすることを目標として掲げ、各施策を展開しているようです。
国では森林環境税として、個人税に毎年1000円の追加徴税をする方針が示され、県では毎年500円の森林づくり県民税を継続するかどうかが議会で議論されています。
今後の森林整備と利活用促進について、松本市として取り組めることも議会で今後取り上げていきたいと考えていますので、またご意見を頂ければ幸いです。
それでは、また明日。



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