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方針転換した松本城外堀復元事業に、「契約違反だ」と地元説明会は紛糾。新しい契約書には、自然由来の汚染に関する項目も。

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。
外堀復元事業が中断してしまった問題について、前回の記事ではその原因についてまとめました。

2018/11/01

今回は、地元説明会の内容と、市に求められていることについて書いていきます。
1,地元説明会では不満の声が噴出
10月17日、はじめての地元町会への説明会が開催されました。
初めて平面整備に方針転換をした7月の議員協議会終了後、すぐに地元連合町会の町会長会には担当課が説明し、144戸の戸別訪問も終わらせたといいます。ただ、地元町会としては、平面整備の方針は新聞紙上で初めて知ることとなり、(議会では20対10で承認と集約されていました)「これまで行政に協力してきたにもかかわらず、失礼ではないか」という声がこの地元説明会の冒頭で上がっています。地元町会として市と調整を行った結果、およそ3ヶ月後となる10月17日の開催に至ったとのこと。

協議会翌日の市民タイムス1面
地元町会への説明会では、出席者から「お堀を復元したいというから、泣く泣く住み慣れた町会・土地・家を手放したのに、平面整備にしますと突然言われても納得できない。行政がどう考えているのかわからない。」「もう少し住んでいる住民のことを考えてほしい」「方針変更は住民との契約違反だ」「平面整備ということならこのままここに残ってもいいのか」といった声が挙げられていました。
市からの「汚染の撤去費用を市が負担すると、責任を問われてしまう(訴えられてしまう)」という説明に対し、「わたしたちの方が訴えたい」といった厳しい意見も出されました。そして、終始出ていた声が、「どうして市長が直接説明に来ないのか」「担当課による市長の代弁であったら意味がない」というものです。市長は議員協議会の場で地元住民に対して謝罪をされていますが、未だ地元に直接出向いての説明はされていません。

2,いま松本市に求められていること
その後、住民から様々な提案・指摘がなされましたが、市側も検討してきたと説明するしかなく、住民・市職員双方にとって、とても心痛な現場であったと感じました。
市側は、「復元に向けて法改正を国に要望をしている」「一時的に平面整備に方針転換しないと、用地買収そのものが中断してしまう」「掘るためには市民主体で募金を募るか、汚染除却に関する技術革新や次の世代の新しい発想が必要」と説明し、「どうしたら復元できるのか、皆さんと一緒に考えたい」と述べました。
外堀を掘ることを前提に、地元住民の立ち退きも、用地取得費用の支出も進められてきたことから、今後、市長が直接地元に赴き、誠実かつ丁寧な説明をすることと、住民の方に対して、何らかの方法で希望の道筋を導き出すことが求められています。
私自身も、2時間に渡る地元説明会に参加したことで、住民の方の切実・悲痛な声をお聞きし、どうにか復元の道を探すことができないかとあらためて強く、認識することとなりました。

10月19日付け市民タイムスより
3,10月31日の臨時会で出された、市長による地元説明を求める意見と、新しい契約書
31日の臨時会では、議会で了承と集約された平面整備を前提とした、用地買収の補正予算案が提出されました。
今回の地権者の方々は土壌汚染発覚前から用地買収の交渉を進めていた方で、平面整備に納得しているとのこと。これにより、市の用地取得率は54%になります。
不動産鑑定を行い、土壌汚染発覚前と同じ価格で購入することになっています。
私は所管する教育民生委員会に所属していなかったため、傍聴していたのですが、以下が質疑の主なやり取りです。
Q:地元説明会の反応はどうだったのか
A:堀を掘ること前提だったのに契約違反ではないかといった声もあがり、大方が平面整備に納得できないというのがそこの意見だった。
Q:7月10日に全員協議会をやって、3ヶ月も経って地元説明会ということだが、なぜ?
A:地元説明会の前に、15日に連合町会長会で説明をした。連合長から相談を受けて日程を決めたが、それが10月になってしまった。
Q:地元住民が納得できていないという中で、どう進めるつもりか
A:地元の方へは平面整備で事業中断として説明をしている。断念したわけではなく、課題解決されれば方針変更も有りうるという含みを持って回答している。
Q:住民はそれで納得するのか
A:お堀にするからということで立ち退きも了解してもらってきた経過から、市として諦めずに関係各課に働きかけをしていく
Q:取得すべき用地が残り半分残っている中での方針転換であり、取得に多くの時間かかってしまうのではないか
A:既に用地売却の準備を進めている権利者もいて、7月の議員協議会後に関係権利者の説明に入った。7月19日には144人の権利者の内、138人に説明を終えた。27日までに説明を終え、全ての権利者に理解を頂いている。準備できている方から用地取得を進めていく。
Q:今回の変更によって、事業進捗が大きく遅れるということはないのか?
A:計画通り進めていくつもり
Q:地元説明会のあと、地元関係者から市議会で了承したじゃないかと言われる。国の方へ行って働きかけの努力をしているのか
A:環境省には6月にいってきた。自然由来のものがでた中、事業を中断させない方法がないかを打診した。
環境省からは、土対法は健康被害から守る法律であって、自然由来であっても汚染は汚染であり、それ以上は売買契約の民法上の問題である。売買については土対法は関係ないとの話であった。
Q:50cm掘る程度の形質変更を要しない浅い堀はどうしてできないか
A:23地点で汚染を調査し、8地点から汚染物質が出た。環境保全課と相談したが、汚染されていない土地を外に出して、汚染されている箇所は土をならすことも検討した。しかし、その区域を汚染土地として区域指定しないといけない。土地が汚染されているということで、土地の購入費用が大幅に下落する。
さらに、浅い堀では、復元する意味がない。仮に将来的に掘ることができるようになった際に、二重投資になってしまう。そこで、事業中断せずに進めるには平面整備がベターということでこの方針となった。
Q:市長が直接説明に出向くべきでは。
A:今後、機会を設ける可能性はある。
Q:新しい契約書の中で、市が掘れるようになったらどうするということは謳っているのか
A:土壌汚染調査で出た物質の処分費を、土地の所有者には求めないとしている
最後の、新しい契約書の中では、これまで条項として入っていた「瑕疵担保責任」はそのままに、「自然由来の土壌汚染」というものが新たに加わることになりました。
この中では、
・自然由来と判断される土地の土壌汚染が契約の目的を阻害しないものとする
・汚染に起因する費用は地権者が負担しないものとする
という項目が入っています。
しかし、担当課の説明によれば、これは平面整備を前提とした条項であって、ここでいう起因する費用というのは、堀復元に伴う汚染除却費用のことを指しているのではないということでした。
以上が、最新の動きとなっていますが、次回、現時点でわかっている「どうしたら掘れるのか」について、書いていきたいと思います。
それでは、また明日。

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